「孫チャンネル」見れますように

 「孫チャンネル」を見ることなく倒れた父は、地元の総合病院に救急車で運ばれた。
 診断結果は、軽い脳梗塞。でも、そのわりには症状が重く、何か重篤な病気が隠れている可能性があるため、詳しく検査するとのこと。
 入院してしまうと、家族は、もう会えないらしい。コロナの影響で、全ての入院患者の面会は、一切禁止なんだそうだ。
 コロナに感染すると、隔離され、家族にも会えないらしいというのは、ニュースなどで聞いていた。しかし、一般の病気でも、同じように家族も会えないなんて、びっくりだ。

 父が倒れる2日前、母は、探しものをしていて、たまたま長男が2、3歳の頃の写真を大量に見つけ、父と二人で長い時間、眺めていたそうだ。
 「孫チャンネル」は、見ることが出来なかったが、孫の可愛いらしかった頃の写真を、ゆっくり見ることが出来たと知り、少し救われた気がした。
 先日、その写真が、突然「孫チャンネル」にアップされた。帰省した姪が写真をスマホに写して、アップしてくれたのだ。
 懐かしくて何度も見た。スマホの小さな画面ではなく、テレビの大きな画面で見ると、どんなに良いだろう。

 父は、私が電話すると、
「○○は、元気にしているか?」
と、必ず一人暮らしをしている長男のことを聞いてきた。
 その長男から、父が倒れる前日に自分の暮らしぶりを伝える写真が、「孫チャンネル」に送られてきていた。もちろん、父は見ていない。

 なんとか父の意識がもどり、「孫チャンネル」を、見ることができるぐらい回復しますように。