2024年元旦輪島塗の重箱とともに

義母が亡くなってからのお正月は、お節を自宅で作らなくなった。コロナもあり、大勢の親戚が集まることもなくなったからだ。ここ数年は、来客は無く、家人だけのこじんまりとしたお正月を過ごしている。

そこで、ついに市販のお節セットを買う事にした。義母が元気だった時も、何回か準備が大変だから、市販のお節セットを買おうかという話になったが、結局、我が家では無理という事で落ち着いた。

だって、元日には総勢15〜20名にもなるんだもん。市販のお節セットって大抵3〜4名分ぐらい。何セット買わんといけない?いったいいくらかかるんだ?となり、結局、12/31の夜中までお節を作る年の瀬を長年過ごしてきた。

家族だけのお正月を迎えるようになり、年末の私の仕事は、カタログからお節を選ぶ事になった。上は70歳から下は18歳まで。家族5人が満足するものを選ぶのはなかなか難しいけど楽しい。

晦日には紅白を最初から最後までしっかり見て過ごし、こんなゆっくりとした年の瀬を迎える事に多少の罪悪感を感じている。唯一の、お節の準備は年末に届けられたお節を解凍する事だ。

そして、新年。今までは解凍したお節は、そのまま食卓に並べていたが、今年は、久しぶりに重箱に移し替えてみた。

重箱は、嫁入り道具の一つで輪島塗の立派な5段の重箱だ。家でお節を作っていた時は、なかなか5段の重箱を埋めるのが大変だった。盛り付けもセンス良くとはいかず、「まぁいいか」って感じだった。それでもお正月の非日常感を醸し出すには、充分だった。

 

送られてきたお節料理は、ひとつひとつ独立して仕切られて小さな小箱に入っていた。3段の重箱風の箱に入って届けられた。もちろん、そのままテーブルに置いても違和感がなく、私は今年もそのまま出して新年を迎えるつもりだった。主人が、

「せっかくだから、輪島塗の重箱に入れてみたら」

と言うまでは、、、。

せっかくの料理を移し替える時に台無しにしてしまうのではないか不安だったが、やってみることにした。

およそ3年ぶりに押し入れの奥から重箱を出してきて、小箱に入っている料理をパズルのようにf:id:syabekurinasan:20240117234712j:image一つ一つ並べてみた。

驚いた。ぴったり収まった。はじめからこの重箱に入って送られてきたかのようだ。3段のお節は、輪島塗の重箱の5段のうち4段にぴったりと収まったのだ。

高級重箱に美味しいお節料理。いつも以上に華やいだ楽しい家族団欒の豊かで平和なお正月。

 

2024年、なんて素晴らしい幕開け。お節も完食し、今年は、きっと素晴らしい1年になると思っていた。

2024年1月1日午後4時10分、その時まで、、、