2018-01-01から1年間の記事一覧

封筒

伯父の葬儀に参列するために、久しぶりに田舎に帰った時のこと。 いつもは、車で家族と一緒に帰省していたが、その時は、私一人、電車とバスを乗り継ぎ、最寄りのバス停に降り立った。 父が軽トラで迎えに来てくれていた。ヒールにブランドバックを持って、…

貧乏性

台所の棚の前に物をつい置いてしまい、引き出しをあけることが出来ない。 何年か前に整理をした覚えがあるが、引き出しに何を入れたのかは、記憶にない。久しぶりに重い腰を上げて、片付けることにした。 棚の前に置いているじゃがいもやらビールやら空き瓶…

見栄っぱり

本屋さんで本を買うとき、レジに持っていくのが、何となく恥ずかしい本ってある。大抵は、Hな本。買ったことないけど。会計するときの気恥ずかしさを考えたら、買おうとも思わない。 別の意味でやっぱり気恥ずかしい思いをしながらも、勇気を振り絞って、買…

天罰

前にパーマをかけたのがいつだったか、思い出せないぐらい久しぶりに髪全体にパーマをかけた。 ここ数年は、伸ばし放題で後ろに髪を束ねていた。頭頂部には、ちらほら白髪も見え隠れしている。ひっつめ髪は、生活感満載だから、ふわっとした上品な感じ、マダ…

揚げ物

大学に入学した時に、初めて親元をはなれた。 学校から紹介された下宿は、古びた一軒家だった。実際に使うのは、二階にある自分たちの部屋、踊り場に無理やりこしらえた小さな台所、一階のお風呂とトイレだけだった。二階には二部屋しかないため、下宿人も当…

玉子焼き

子供の頃、ちょっと焦げた玉子焼きが好きだった。だから、お弁当に入れる時にも、玉子焼きを作る母の横で、「もっと、もっと」とわざと焦がしてもらっていた。 そんなお弁当を意気揚々と持って行ったある日のこと。いじめっこが、私から弁当箱を取りあげた。…