息子の引っ越し 母だけドタバタ

長男の引っ越し、無事終了。

とりあえず、荷物を実家である我が家から彼の新居に運び出した。

今回は、引っ越し屋さんにお願いした。プロに頼むと高いというイメージがあったが、前回の家族での引っ越しの疲れが癒されず、また「引っ越し」という気になれなかったのだ。

 

長男に何社かに見積もりを出してもらうように言った。引っ越しまでの日にちも無いので、結局2社だけ見積もりを出してもらうことに。すると、どちらも2トントラック1台とスタッフ2名で5万弱。10万円を超えるのではと思っていたので、意外と安い。単身者だとそれぐらいで出来るんだと、驚いた。距離が近いこともあるだろう。私達からの圧力も有り、長男は新居への引越しはプロにお願いすることに決めた。

 

長男は仕事なので、見積もりには私が立ち会い、2000円だけ安くなる2軒目の引越し屋さんに決めた。見積もりを見ると「➖2200円」とある。この値引きは、何故?

時間を指定しない、午後からのお任せ便だからとのこと。午前中の引っ越しが終わり次第向かうから、はっきり何時と約束出来ないためだって。なるほど。我が家は、全くそれで構わない。引っ越し先は近いし、長男は前日から友達のところに泊まりに行くから遅い方が助かるなんて言ってたし。

それでも、およその時間帯は教えてくれて、午後2時から4時の間に来てくれるとのこと。最悪4時でも、近くだから明るいうちに引っ越しを終えることは出来るだろう。

 

「それなら、俺は居なくても良いな」

と言って、引越し当日、主人は朝から外出。当の本人は、前日から友達の所に泊まりに行っている。いくら、ほとんど荷物は運び出すままとはいえ、1週間の実家暮らしの間に、あちらこちらに長男の荷物が散乱している。これらを箱に詰めないといけないのに、なかなか帰ってこない。

そんな中、私は朝から長男の寝ていた布団を干したりシーツを洗ったりして、新居でも快適に眠れるようにとバタバタと準備をしていた。

11時ごろやっと帰宅した長男。そして引っ越し屋さんからは午後2時に来ると連絡があった。意外と早い。助かるけど。

しかし、なんと長男はこの後、午後1時までに退去した部屋に行かないといけないという。ガスを止めるのに立ち会うため。しかも1時から3時の間、いつになるかわからないだと。

『なぜ、今日?なぜこの時間?』

喉元まで出かけた言葉を飲み込んだ。今更、言ったところで仕方がない。まあ、予約が取れなかったんだろう。

長男が、新居に行くのが間に合わない場合、私が引っ越しトラックと一緒に行くしかない。

長男が準備している間に急いで合鍵を作りに行く。近所のスーパーの一角に鍵の専門店があったはず。間が悪いことに、『トイレに行っています。すぐに戻ります』との書き置きが。5分ほど待っていたが、なかなか帰ってくる気配が無い。仕方がないので先に買い物を済ませる事にした。しばらくしてから鍵屋さんに行ってみると、店主はさすがにもう戻っていた。

 長男の鍵を出して、直ぐに出来るか尋ねた。「すぐに出来ますよ」と言って、本当に5分ぐらいで作ってくれた。値段も見本の中で一番安く、880円だ。

この鍵を開けた先に、ワンルームの無防備な部屋が広がっている。こんな安っぽい鍵で大丈夫なのかと脆弱なセキュリティに少し心配になった。

長男は、昼食を食べた後、早々にガスの立ち会いのために出かけた。ガス屋さんが1時に来てくれたら何の問題はない。最悪なのは、3時とかになった場合。

いろいろな状況をシュミレーションしていた。

そして、午後2時ぴったりに、ついに引っ越し屋さんがやって来た。しかも

「応援も来ました」と言って、トラック2台に作業員も4人と、見積もりの倍だ。もちろん値段は変わらないのだからありがたいのだが、、、

『やばい、これではますます早く終わってしまう!』

長男に聞いてみるとまだガス屋さんは、来ていないとのこと。

仕方がないので、引っ越し屋さんのリーダーに事情を説明した。すると、

「この後、引っ越しの予定はないので、時間はあります。急いでいないので大丈夫です。待ちますよ」

と、ありがたいお言葉。

私達が1日がかりで運び出した荷物を、屈強な男性達は、ものの20分ほどで全部トラックに積み込んでしまった。

ちょうどその時、長男から連絡があった。ガスの立ち会いを終えて、新居に向かうとのこと。

午後2時半に、引っ越しトラックを見送り、私はやっと一息ついた。

しばらくして、長男から新居について10分後にトラックが着いたとの連絡があった。ギリギリ間に合ったようだ。

ほっとして、何気無く長男に聞いてみた。

「これからまた大変だね。頑張ってね。片付け手伝いに行こうか?」

速攻で返信がきた。

「来てくれたら嬉しい」

朝から長男の引っ越しに誰よりも振り回されて、やれやれと思ったところだった。

もう立派な大人の長男(30歳)。

「いや、大丈夫。ぼちぼち自分で片付けるよ。今日はありがとう。ゆっくり休んで」

なーんて言葉を少しでも期待した私が甘かった。

そして性懲りも無く、慌てて身支度をして、長男の新居に向かった。つくづく親バカだなぁ。いや、バカ親か…。