WBC映画でおひとり様映画鑑賞デビュー

60歳にして初めて、映画を一人で見に行った。

今までは、誰かに連れて行ってもらうか連れて行くかだったが、最初から最後まで、私一人。

記念すべきおひとり様映画は、WBCの感動を再び「憧れを超えた侍たち」。

6月末までということなので、これを見逃したら後悔しそうと思い、一念発起で見に行った。

以前、母を映画に連れて行った時に何と私もシルバー料金で見ることが出来ると知り(60歳以上)、嬉しさ半分、戸惑い半分だったが、1200円で見れるなんて安いものだ。そこで、予約しようとするとなんとこの映画は特別料金ということで大人は一律2200円だった。シルバー割引なし。

「あらっ?」

一瞬、ためらったが、ここでケチってはいけない。貴重なドキュメンタリー映像なんだから、当然だ。

 

平日のお昼前の映画館は、思いの他、混んでいた。こんな時間に来れるんだから、おじさんおばさんか大学生らしき若者だ。シルバー世代の夫婦もけっこういた。私も主人を誘おうと思ったが、

「しばらくしたらテレビでやるよ」

と言われそうなので、一人で行くことにした。

 

午前11時50分から午後2時までの130分。入り口に近い端っこの席は、クーラーの吹き出し口に近いのか、やたらと寒く薄い上着を羽織ってきて良かったとつくづく思った。

ゆったりとしたシートには身を沈めず、前のめりになって見た。

テレビで見た場面もあったが、ベンチでのやり取りや移動中のバスの中での会話。ピッチャーとキャッチーとの会話。

表側からはわからなかった、選手や監督、コーチとのやり取り。あらためて、日本を背負って戦った侍たちの重圧と興奮をひしひしと感じた。結果は分かっているのに何度も思わず目頭が熱くなった。

メキシコ戦で打たれ、ベンチの裏でしゃがみこんでいる佐々木さんの様子を執拗に映し出した。

(失意のどん底にある彼を、撮らないであげてよ。)

と、思いつつもそんな彼の姿をしっかり見ている自分が居る。胸が押し潰されそうになる。思わずお母さん目線。

結果として、日本は劇的な逆転勝利を果たしたんだけど、このカメラを回していた時点では、まだどうなるかもわからない。そんな状況でも、ある意味非情に撮り続けるカメラマンもすごいと思った。プロやなぁ。

WBC開催中には、テレビやネットでいろんな情報が飛び交っていた。それらの情報の答え合わせをするように見ていた。吉田さんが、優勝決まってベンチから飛び出す時に見事にこけていた様子も再確認できたし。

 

映画の中で、栗山監督がよく口にしていた言葉。

「ありがとう」

選手に、スタッフに、周りの方々に自然とおっしゃっていた様子が印象深かった。相手の気持ちに寄り添いながら、一つ一つ決断を下す。監督の選手に対するリスペクトに、選手がしっかりと応えている。

 

優勝の瞬間、大谷さんが被っていた帽子を投げた。それを見て、どっかのワイドショーで、

「あれは、大谷翔平だから許される」

と言っていたっけ。

人格者の大谷さんらしからぬ行為で、びっくりしたけど、そんなことをちょっとでも思った自分が、恥ずかしかった。

映画の最後の最後で、彼のつぶやきを聞いて、思わず笑みがこぼれた。

 

やっぱり大谷最高!侍JAPAN最高!

 

爽やかで晴れやかな気持ちで、初めてのおひとり様映画鑑賞を終えた。