買い換えラッシュ 自転車編

 気付けば、ここ数日でいろんなものを買い換えた。
 1番は、なんと言っても、自転車だ。亡くなった義母から、何年も前に、「もう乗らないから」と、譲り受けたその自転車は、長年の間にライトは壊れ、タイヤがすり減り、前かごはさびつき、もうボロボロ。100均のライトで照らされた夜道をギコギコペダルをこぎながら、新しい自転車が欲しいとずっと思っていた。
 ある日、突然、後ろブレーキのワイヤーが切れた。で、心が決まった。
『お義母さん、もうそろそろ新しい自転車を買っても良いですよね』
亡き義母の自転車、つまり形見の品なので、処分をすることに躊躇いがあった。しかし、修理費のことを考えると買い換えもありではないかと思った。主人も手頃なものを探してくれるというので、思いきって新しく電動自転車を買うことにした。
 義母の自転車はブレーキが壊れているため、そのままでは乗ることも出来ない。そのため、必要な時は、息子の自転車を借りたり歩いて行ったりして、しばらく過ごしていた。
 そして、ついに先日、ホームセンターのチラシでお手頃な安い電動自転車を見つけた。憧れの電動自転車。しかもほぼ私専用の自転車だ(主人も乗るらしいが)。
 早速、主人がお義母さんの自転車に乗ってお店に行き、新しい自転車と交換してきてくれることになった。
 「長い間、ありがとうございました」と、自転車を見送ろうとしたその時、気が付いた。鍵に付けていたキーホルダー。それは、義母から受け継いだものなので、引き続き新しい自転車の鍵に付けるためにはずした。義母へのせめてもの罪滅ぼし。

 我が家にやってきた電動自転車。それは、明るい水色で、還暦間近のおばさんが乗るにしては、少しだけ気恥ずかしい。しかし、義母の自転車に付けていた荷台のかごを取り付けてあることが、ママチャリ感を醸し出していて、ちょっとほっとする。

 ホームセンターから自宅まで新しい自転車に乗ってきた主人が、得意げに乗り方のレクチャーをする。そして、
「軽い軽い、本当にどこへでも行ける気がするよ。」
私同様、電動自転車初体験の主人は、興奮気味に言った。
 それは、私と同じく車の運転が苦手なママ友が言ってた言葉だ。それを聞いて、私は、電動自転車に憧れ続けていたのだ。その、どこへでも行ける気がする電動自転車に乗って、私も、ちょっぴり遠出がしてみたい。