りょうちゃんの絵

「りょうちゃんの絵を返して」
年長さんのりょうちゃんが描いた「鬼滅の刃」の「炭治郎」の絵だ。

 りょうちゃんからその絵をもらった時は、「鬼滅の刃」も「炭治郎」のことも知らなかった。だけど、それは年長さんが描いたとは思えないぐらい上手でとても感心したことを覚えている。そんな上手に描けた「炭治郎」の絵を私にくれるというのだ。きっと一生懸命描いた会心の作品に違いない。それを私がもらって良いのかと思ったが、りょうちゃんの、「いいの、あげる」という強い意志もあり、戸惑いながらもいただいた。
 その後、どうしたものかと思案の末、しばらくは壁に貼ったりしていたが、結局、外して、、、。そう、その後の記憶が全くないのだ。まさか、何ヵ月も経ってから、返せと迫られるとは。
「りょうちゃん、あげるって言ってたやん」
って、とっさに言ってしまった。
「だって、とってもじょうずにかけたから、見ながらもう1かいかきたいの」だと。
「じゃあ、おうちにあるから今度持っていくね」
とは、言ったものの、どこにしまったのか、全く覚えていない。う~ん、捨ててはいないと思うけど、、、。『これは、まずいことになった』と焦ったが、所詮、幼稚園児。すぐに忘れるだろうとたかをくくっていた。
 しかし、りょうちゃんは、忘れなかった。会うたびに、
「りょうちゃんの絵は?」
と尋ねてくる。そのたぴに、
「ごめんね、今度持ってくるね」
と、やり過ごしていた。
 いつまでもごまかすことも出来ないので、重い腰をあげて、本格的に探しはじめた。すると、『とりあえずここに置いておこう』で、積もり積もった仕事関係の書類やプリント類、チラシや新聞の山、、、。全く我ながら整理能力の無さに、呆れてしまう。我が子らがだらしないのも、仕方がないも。
 「りょうちゃんの絵」を探しながら、部屋を片付けていた。すると、以前購入したものの、すっかり忘れていたグッズや、なくしてあきらめていたもの等、次々と発見!おまけに、主人までも自分が取り込んでいるかもと、探してくれていたが、ちょうど必要だった書類が出てきた。これも、りょうちゃんのおかげか。
 で、肝心の「りょうちゃんの絵」は、見つからなかった。

 探している時に出てきた数冊の雑誌。ここ最近は、厳選して買ったものばかり。それが全部、「整理、整頓」や「片付け」に関するものだったので、笑った。
 買っただけで、片付けた気分になってしまう典型。最大の無駄使いだと反省、、、。参考書をたくさん買って、勉強をやった気分になっていた息子のことは、もう責められないね。「この親にしてあの子ども達有り」というところだろうか。ごめんね、息子たち。

 神様からのお片付けのご褒美か、翌日、全く別のところから「りょうちゃんの絵」は、無事見つかった。