田舎の公立病院から都市部の個人病院にセカンドオピニオン

大型連休が始まる前の4/27に、田舎から母が、我が家にやってきた。

今年で86歳、一人でバスと電車を乗り継いで来れるのも、今回が最後になるかもしれない。

我が家に来た最大の目的は、眼科の受診だ。

昨年末に受けた白内障の手術後、なんだか変な物がが見えて困るという。白っぽいところに泡泡が見えて、びっくりしてしまう。今までは、遠くは見えなくてもどんな小さな字でも見ることができてのに、手術後は、逆に小さな字は見えづらくなり、新聞を読むのも億劫になってしまったなどなど、文句たらたらだ。

聞けば、術後帰宅してすぐから、目尻の上の辺りが痛くてたまらず、お医者さんに訴えても何ともなっていないからと帰されたらしい。でも、どうしても痛さは治らず、翌日また病院に行き、「やっぱり痛くて仕方がないから診てください」と再度受診したそうだ。すると、今度は別の医師が診察し、

「あー、これのせいで痛かったんやな」と言って、まつ毛を1本、目の奥から抜き取ってくれたそうだ。すると痛みもなくなったとのこと。

痛みの原因は、明らかにそのまつ毛。

しかし医師からは、何の謝罪の言葉もない。別の医師の不適切な対応かもしれないが、同じ病院の同じ眼科でのこと。

「おばあちゃん、何回も来てもらってごめんな。昨日、処置できず悪いことしたな」ぐらい、言えんのかと呆れた。

術後の見え方についても、母が「変なものが見える」と言っても、「年のせいだから、どうすることもできん」と言われて、診察はおしまい。

小さな町の公立病院。医師は都市部から曜日ごとに派遣されて来ているらしい。町の眼科はここしかなく、地元の年寄りはそこでお世話になるしかない。

白内障の手術後、まつ毛事件に見え方のモヤモヤを抱えていた母。そして、その話を聞き私も医師に対して不信感でいっぱいになった。もしかして、手術に失敗してるんじゃない?

そこで、連休前の平日の2日間を利用して、私の住んでいるところで、眼科に行って診てもらうことにした。

 

二人で向かったのは、近所の女医さんのところだ。

白内障の手術後の見え方が悪いようで」

と言うと、「はいはい」とよくある事のように、手慣れた感じで診察を始めた。

「いろいろしっかり調べて下さい。そのためにはるばる来ましたので。」

丁寧に診ていただいた後、説明があった。

結論から言うと、町の公立病院の医師の言うとおりで、「年のせい」だ。

ただ、ここからが違った。女医さんは、なぜそんな物が見えるようになったのかを、母と私に懇切丁寧に説明してくれた。その事により、母や私のモヤモヤが消えて、母はその泡泡を受け止めて生活していく覚悟が出来たようだ。

こちらの眼科を受診する前と後で、症状に何の変化もないが、母から見え方に対する不満は聞かなくなった。

 

年老いていくと人は、一つずつ身体のあちこちの不便を受け入れていき、それがだんだん当たり前のようになって、生きていくんだと思う。

町の公立病院の医師が、母の症状について頭ごなしに「年のせい」で片付けず、年寄り相手でも説明してくれたら良かったのに。そして手術の前に母のような症状になるかもしれないと一言説明があったら、母もモヤモヤする事がなかっただろう。

それとも、田舎町にわざわざ来てくれているお医者様だからありがたく、言われた通りにしておかないといけないのか?

 

いずれにしても、相手のことを思って、一言付け足すだけで、事態は大きく変わることを私は、学んだ。

医師という立場でなくても、その事はとても大切だと思う。 

良い勉強になったわ。