予言的中

 先週の土曜日に、市の集団接種会場で2回目のワクチンを接種した。2回目なので、流れもわかっていた。相変わらず、たくさんのスタッフにうやうやしく導かれ、無事接種を終えることができた。

 帰ろうとしたその時、ふと次男のサッカースクール時代のママ友が、その会場で働いていることを思い出した。帰り際に、事務所を覗いてみると、彼女はいた。思いきって、大きめの声を出して呼んでみた。すると、仕事中にもかかわらず、「わー!◯◯さん」と私の名前を呼びながら、側まで来てくれた。昔からオーバーリアクション気味なところがあった彼女だが、今回も久しぶりの再会に抱きつかんばかりに寄ってくる。
『おいおい、近い近い。今はコロナだぞ』

 ひとしきり、お互いの近況報告や昔一緒にやっていた子達、他のママ友がどうしているとか話したあと、彼女は言った。
「2回目の接種?」
「そう」
「私もこの前、2回目の接種終わったの。ちょうど20時間後に38°の熱が出た。カロナール持ってる?熱、出たらすぐに飲んだほうが良いよ。絶対に熱出るよ」
「でも、私の身内も主人の兄弟たちも、誰も熱とか出ていなかったし、大丈夫だと思っている」
「若い人が熱出るらしいよ」

 なんと、そう言えば、すでに2回目ワクチン接種済みの私の身内は、みんな60歳以上だわ。熱が出たと聞いたのは、20代30代の姪と甥だ。彼女は40代。で、50代の私はどうなんだろう?
「じゃあ、熱が出たら若いということで」
と、言いながら彼女と別れた。

 ワクチン接種後、しばらくしてから接種したところが痛くなってきた。でも、これは前もそうだったから、大丈夫。

 家に帰ってからは、彼女の言葉がなんとなく気になり、一応、解熱剤の「カロナール」の場所を確認した。そして、仕事も出来るだけ今日中に済ませておこうと思い、午前1時までかかり終わらせた。
『さあ、これでいつ熱が出ても大丈夫。かかってこい、熱!』
そう思いながらにベッドに入った。

 そして、明け方。久しぶりに感じる体のだるさと熱っぽさ。体温を測ると、38.5°もあった。本当に熱が出た。

 結局、「カロナール」を2回飲み、1日中寝て過ごし、日曜日の夜には平熱に戻った。

 今回の発熱は、ワクチンの副反応とわかっていたが、なかなか下がらないと、やはり不安になった。もし、コロナ感染で発熱したら、どんなに不安だろう。折しも、テレビをつければ、自宅療養で苦しんでいる方の様子が映し出されていた。他人事ではない。コロナにかかりたくないと、心から思った。

 彼女の予言は見事に的中し、事前に用意しておいた「カロナール」にも助けられた。どうやら私は「若い組」だったらしい。

 2回目ワクチン接種からもうすぐ1週間。体調は、接種前よりも良いように思う。安心感が気分を高揚させてくれているのかもしれない。