足腰を鍛えるには

 実家の母と話をしていると、最近、よく聞くのが、「足が弱くなった」という言葉。
 今でも毎日外に出て、畑仕事や草むしりをしているようで、84歳にしては、元気な方だと私は思う。しかし、本人からすると、今までのように踏ん張りが効かず、すぐにこけそうになったり、長時間歩いたり出来なくなってきたことが、不満らしい。足がつって夜中に何度も目が覚めるなど、とにかく足の不具合が顕著らしい。
 娘としては、「歳をとってくるとそんなもんだよ」と慰めるぐらいしか出来ない。

 そんな母が、カタログで良いものを見つけたという。何かと思ったら、「ウオーキングマシーン」だった。
「これなら、冬になって雪が積もっても家の中でテレビを見ながら散歩できるし、足腰を鍛えるのにちょうど良いと思わん?」
「たしかに、家にいながらにして歩けるから便利、、、」
と、言いながら思い出した。

 それって、我が家にもあった。義母がちょうど母ぐらいの年齢の時に、自分で買ってきて、しばらくやっていた。いつの間にか使わなくなって、今もタンスの横にしまったままになっている。
「あなたも、使って良いよ」
と言われたが、その頃の私はまだ痩せていて、その機械の上を歩く必要性を感じていなかった。ただ、1回だけ歩いてみて、機械の早さに合わせて歩くことが難しくて怖かった記憶がある。
『お義母さん、よく歩けるなあ』って感心したけど、やはり老人が一人で使うには、危険だったと思う。義母はいつも一人でやっていたけど、もしかしたら怖い思いもしたのかもしれない。
 そんなことを思い出しながら、きっぱり母に言った。
「止めとき。どーせ、初めだけですぐに使わなくなるし。それに、危ないわ」
しかも、値段は7万円ぐらいだという。ビックリ。そんな高いものなんだ。
 物が多くて困ると、いつも愚痴っている母だが、わざわざ高いお金を出して大きな粗大ゴミ候補を買おうとしている。
 まあ、それほど足腰の衰えに危機感を感じているのかもしれない。

 歳をとると、まず足腰が弱ってくるのは、義父母や両親を見ていて、つくづく感じている。義父母も父も母も、風呂上がりに見えた足の細さに驚き狼狽した。若かった頃は、みんな筋肉がしっかりついていて逞しい足をしていたはずだけど、いつの間に、、、。歳をとったなーって。

 実は、主人にもそれは感じている。足の筋肉、急に落ちたように思う。世間では、立派な老人だから仕方ないか。
 なのに、私の足ときたら年々逞しくなってきている。なんで?