テレビ、壊れる!

 前兆は、まだ寒いころからあったと思う。我が家にやって来てまだ5年めのテレビが壊れてしまったのだ。

 確か次男が6年になり、さあいよいよ中学受験、がんばろうっていう時に、前のテレビが壊れたのだ。
『受験勉強に打ち込まなくちゃいけないし、テレビっ子の次男も誘惑されないしちょうど良い』
と、私は思っていた。当時の私は、テレビがなくても全然困らなかった。
 ところが、何を思ったか主人は、壁の半分を占める大型テレビを買ったのだ。おまけに勝手に番組を録画してくれるというタイムシフト機能まで付いていて、いつでも時間を気にせずに視聴できるという優れもの。あまりの大きさと多機能で当然、お値段も高いはず。
「こんなに大きくなくて、タイムシフトとかついてなくて良かったんじゃない?」
と、主人に言うと、
「忙しいママのために買ったのに。大きいと料理をしながら見易いと思って」
だと。私のためと恩着せがましく言うが、1番自分が欲しかったのだろう。

 そのテレビが来てからというもの、みーんなテレビっ子になった。タイムシフト機能で見ると、CMをとばして見れるので、最近ではほとんどタイムシフトで見ていた。
 家に誰かがいる間は、見ていようがいまいが当然のようについていた。電化製品の中で、冷蔵庫の次に稼働していたのが、テレビだろう。
 あまりの酷使に耐えかねて、テレビが悲鳴をあげ始めたのは、買ってからまだ2-3年のころ。音は聞こえるけど、画面が映らない。そんな時には、コンセントを引っこ抜いてもう1度差し込むと、ちゃんと直ったりしていた。初めて主人がそうやって直そうとしたときは、正直『アホか』と思った。『そんな簡単なことで直ったら苦労はないわ』って鼻で笑っていた。ところが驚いたことに本当にそんなことで直ったのだ。そうやってだましだまし使い続けてきたけど、ついに何をしても画面が映らなくなってしまった。
 仕方なくメーカーに問い合わせてみた。フリーダイヤルに電話するんだけど、こういう場合、なかなかつながらないいんだよね。覚悟して電話をしたら、意外とすんなり人間と話ができて驚いた。たまたまなのか、企業のイメージアップのために最近はそうなってきているのか、、、
 問合せたところ、慣れた調子でお兄さんが改善策を教えてくれた。その中の一つに例のコンセントを抜くというものもあった。言われた改善策を全部やって見たが、結局直らず。お兄さんが言うにはおそらく液晶画面に不具合があり、それを取り替えなければいけないとのこと。一応、見積りをとってもらうと、なんだかんだで12万ぐらいだと。
「そんだけ出すんだったら、買い替えるわー」
っていう反応も、お見通しのようだ。
 丁度、1-2ヵ月前に「ジャパネットたかた」からDMのハガキが来ていた。
「今あるテレビを3万円で下取りしますから新しいテレビに買い替えませんかー」
って。タイミング良すぎ!まるでもうそろそろ壊れる頃だと、見越していたみたい。だってこのテレビ、「ジャパネットたかた」で買ったんだもん。
 テレビが壊れてそろそろ1週間。音だけ聞いていたり、ラジオを聞いたり、音楽を聴いたり。なければ無いでそれなりに過ごしている。でも、テレビが壊れて一番困っているのは、実は私かも。次男は家にいる間のほとんどをオンラインゲームで過ごし、テレビはほとんど見ないし、主人は自分の部屋で見ているし。
 ポツンと私だけが取り残された感じ。テレビがないと、何故か仕事がはかどり、時間の余裕ができ、手持ちぶさたになってしまう。いかに自分がテレビに依存していたか思い知らされている。