神様に感謝

次男とのバトルの翌日、いつもならとっくに帰って来るはずの時間なのに、帰ってこない。今日は、学校で補習でもあるのかなと思いながらも、なんだか胸騒ぎがする。

何せ、昨日の今日だ。

気になってLINEをしてみる。既読がつかない。肌身離さず持っている携帯。気づかないはずが無い。

 

自由に生きられない自分の人生に絶望して、家出?それならまだまし。まさか自殺?友達とどこかでお茶をしながら、不幸な身の上話を聞いてもらっているのか?

いろんな思いを巡らせていると、ようやく既読がついた。でも、返信はない。

既読が付いたところで、「どこにいるの?」「何時に帰るの?」と矢継ぎ早に質問する。

しかし、その後は既読もつかない。

とにかく、生きていることだけは分かった。それだけでも安心した。が、

もしかして、家に帰るつもりはないのか?  

小雪もチラつくこの寒空の中、どこで何をしているのだろう?

いろんな良くない思いが交錯する。

もはや神様に祈るしかなかった。せっかく母は、脱毒母宣言をしたのに、その事を告げる前に、私の前から居なくならないで!

『神様、あの子を無事、家に帰して下さい。お願い致します!もう、自由にさせます。私が悪かったです。あの子と向き合う時をもう一度、お与え下さい!』

 

もう、自分だけ暖かい家でじっと待っていることが出来なかった。次男は寒さに震えながらどこかを彷徨っているのかもしれない。何のあても無いのにとにかく探して来ようと、家を出た。

暗くて良かった。半泣きになりながら、私はとにかく駅にむかった。すれ違う人すれ違う人にもしかして息子では?と言う期待と違った時の絶望感を味わいながら、歩いていた。

途中で携帯を見ると、なんと次男からメッセージが届いていた。

「今、駅におるて」

一気に安堵で涙が出てきた。

そして歩き始めるた途端に、息子とすれ違った。

思わず手を掴むと、息子は、驚いたように「なんやねん!」

と迷惑そうに言い捨てて、サッサと家に向かって歩いて行った。

私は、同じように心配している主人に、急いで次男の無事を知らせるLINEをした。

 

それ以来、次男とは必要最低限の会話しかしていない。話かけると「うん」とか「ああ」とか2文字の言葉が返ってくるだけましか。

やっと次男にも反抗期がきたのかも。

以前のようにくだらない話をして笑ったりはなくなり寂しいが、これも必要な通過儀礼だ。

 

私は、神様と約束した。

次男を自由にさせる。生きているだけで、ちゃんと家に帰ってきてくれるだけで、私は幸せだ。

 

次男は次男の人生を、私は私の人生を生きていく。